【からくり箱の好奇心|第10回】極上の脇役を目指して、タルタルソースを作ろう
極上の脇役を目指して、タルタルソースを作ろう
フランス料理は「ソースが命」とはよく聞くことだ。料理を大いに引き立てる存在なのだ。日本の食卓でも、揚げ物にはウスターソースをかけるのが定番だが、そこにタルタルソースを添えると、いっきに料理の格が上がると思う。
タルタルソースの作り方はシンプルで、ゆで卵と玉ねぎを細かく刻み、マヨネーズで和えるのが基本だ。そこへピクルスやらっきょうを加えると、酸味がアクセントになって味が深まる。赤や黄色のパプリカを入れると、彩りもいい。そんな工夫は無限にあって、香ばしくローストしたスライスアーモンドや、小さく砕いたクルミをトッピングしたら、楽しい食感が生まれる。秋田名物いぶりがっこを刻んで入れると、独特の燻製香が加わって、個性的なタルタルソースの出来上がりだ。
ただし、「本末転倒」になるのは注意したい。旨みの強いウニや生ハム、高価なイクラやキャビアなどを入れてしまうと、ソースが主役の座を奪ってしまう。あくまでも料理を引き立て役であることを忘れないこと。
工夫をこらしたタルタルソースを2、3種類も用意すれば、お皿という舞台はいちだんと華やかに。そう歌舞伎だって、オペラだって、いい脇役がいればこそ素晴らしいひとときが生まれるのだ。
■プロフィール
西濱 謙二(にしはま けんじ)
広島市生まれ・在住のライターです。人、街、企業、モノづくりなどの取材と撮影をフリーランスでしています。様々に活躍される方々からお話を聞くご縁に感謝し、同じシニア世代の方々にとって共感したり、和みになったり、小さくとも何かのお役に立てればと願っています。