瀬戸内の魅力を釣りと食を通じて体感してもらいたい。船と人の魅力がつなぐ海釣りの輪。
10月下旬、日中は20度越えの日が続いていましたが、さすがに早朝は寒く、船上ではさらに体感温度が下がるとのことで、しっかり着込んでの取材となりました。
釣りの魅力は「3日楽しめること」
ご一緒したのは63歳から77歳までの4名のお客さま。山口・広島にお住まいで、釣り歴50年など、子どものころから釣りに親しんできたベテラン揃いです。
狙いは人気の鯛。タイラバという疑似餌を使う釣りがメインでした。タイラバは約20年前に一般の釣り人の間でも広まり、操作が簡単かつ70~80㎝級の鯛が釣れるということで人気になったそう。
船長の運転で勝栄丸は白波を立てながら瀬戸内の海をぐんぐん進みます。ポイントに到着するまでの時間、皆さんにお話を聞きました。
■釣りの魅力は?
「そりゃ、前日の準備、当日の釣り、次の日食べる。3日ずっと楽しいこと」と皆さん声を揃えます。船長からも「遠足の前みたいなんですよ」と。
■前日の楽しみとは何でしょうか?
「釣り具屋でこれ買おうか、あれ買おうか考えているときが楽しいねぇ」「仕掛けの組み合わせも何千通りもあるし」
■では、当日楽しいことは?
「いつも同じにならないのが魅力。前に釣れたからと言って、今日釣れるとは限らない。だから面白い。釣れるも良し、釣れないも良し」
「魚釣りに集中するからストレス解消になる」
「船上の食事。カップラーメンはたまらないね。特に寒い時期」
■釣った魚は美味しいですか?
「美味しいよ。釣った魚は新鮮で臭くない。孫も喜んで食べる」
「3、40cmのちょうど良い大きさの鯛は刺身。大きい鯛はフライ」
(船長からも「大きい魚はフライにしたら、だいたい美味い」とコメント)
「刺身は醤油とワサビだけど、たくさんだと飽きる。そうしたらカルパッチョにしてレモスコをかけてもいいよね」
食べ方談義は尽きず、他にも「干して食べる」「炊飯器で鯛飯にする」など盛りあがりました。
勝栄丸の魅力は、船長とそこに集う方々のお人柄
■勝栄丸の魅力は?
「やっぱり船長!船長の腕が良い。釣れるところへ連れて行ってくれる。釣れる仕掛けを教えてくれる。料理も上手」
「釣れる仕掛けの情報交換。釣れた人にタイラバの何色で釣れた?って聞いて。その色にすぐ変える(笑)」
「勝栄丸に乗る人は良い人ばっかりなんよ」
おしゃべりをしているうちに、最初のポイントに到着しました。
鯛や太刀魚が釣れましたが、船長曰く「潮の関係で魚に活性がない(=食い気がない)」日で、残念ながらいつもの調子ではなかったようです。
なぜかサメがよくかかり「今日はサメラバ?」という冗談も出ていました。
近年は瀬戸内も大雨が続いたり、風が強く吹いたり、変な時期に台風が来たりと気候変化の影響を受けているそう。「魚が死んでしまう、釣れる魚が変わってしまう」という話題も出ました。
この後、数回ポイントを変え、遠くに国東半島が見えるところまで足を延ばしました。
なかなかアタリが出ない時間帯には、船長が「さあ、鯛いるよ!釣りましょう!」と皆さんを励まし、なんと自ら4連続で鯛を釣り上げ、船内を沸かせました。
「釣れるも良し、釣れないも良し」釣果がいつもより少なくても、釣りとコミュニケーションを楽しむお客さまは終始笑顔でした。
16時前に柳井へ帰港。皆さま、釣れた魚をクーラーボックスに詰めて、この日は終了でした。
瀬戸内の魅力を釣りと食を通じて体験してもらいたい
釣りを通じてあらゆる世代が瀬戸内を体験できる「勝栄丸」。
その背景や事業活動への想いについて、ヤマトフーズの園田さま、勝栄丸船長の木谷さまにお聞きしました。
(左)ヤマトフーズ株式会社 勝栄丸 船長 木谷 隆文(きだに たかふみ)さま
(右)ヤマトフーズ株式会社 マーケティング担当 園田 真理(そのだ まり)さま
■ヤマトフーズが遊漁船をはじめた背景をお聞かせください。
<園田さま・木谷船長>
ヤマトフーズには「瀬戸内を世界へ」という想いがあります。瀬戸内の海や山から美味しいものを全国へお届けすることが、私たちの願いです。
今までも、広島が国産レモン生産量日本一であることをレモスコで発信したり、レモンと牡蠣を組み合わせた商品を開発して広島名産の牡蠣をアピールしたりしてきました。
勝栄丸による遊漁船事業も同じで、瀬戸内の魅力を発信したいと始めました。
釣りを通じて、瀬戸内を体感してもらいたいです。
■今回のお客さまも勝栄丸での釣りを楽しんでおられました。遊漁船の運営で心がけていることをお聞かせください。
<木谷船長>
お客さまをボウズ(=目的の魚が釣れずに終わること)にさせないことです。釣れるようにアドバイスしたり、ポイントを移動したりしています。
釣りの魅力はやはり釣れること。それが船長の仕事なので、毎回、釣っていただくための戦略を練っています。
なので、船長としてのやりがいは、魚が釣れた時のお客さまの笑顔を見ることですね。
魚を食べる楽しみも提供したいです。船内でもヤマトフーズの商品販売をしており、釣った魚をより美味しく味わうためのアドバイスを添えています。逆にお客さまからの声をお聞きして、ヤマトフーズへフィードバックする場にもなっています。
もちろん安全には最も気を付けており、2021年9月に事業をスタートして以来、無事故継続中です。
■シニアでも海釣りを楽しめますか?
<木谷船長>
60歳以上でも、今回のお客さまのようにずっと釣りをしている方は海に慣れておられますね。
お客さまの最高齢は92歳。80代もお二人。ご家族やお孫さんと一緒にいらっしゃいます。
ただ、最近は夏が暑すぎて危険なため、夏場は高齢のお客さまをお誘いしないようにしています。
現在、勝栄丸のお客さまは小学生からシニアまで幅広い年代に広がっています。
■今後の展望があればお聞かせください。
<園田さま・木谷船長>
ヤマトフーズの使命は「瀬戸内の魅力を発信すること」。
今後も瀬戸内ならではの食材を使い、新しいものを開発したいと考えています。
そして、勝栄丸を通じて「瀬戸内の魅力を、釣って楽しく食べて美味しく」を伝えていきたいと思います。
プロフィール
ヤマトフーズ株式会社
TEL/082-509-5011
URL/https://setouchi-lemon.jp/
事業内容/菓子・食品の企画販売メーカー
菓子・食品の総合商社
遊技場・アミューズメント向けメーカー・卸売業
地域資源を生かしたオリジナル商品開発
遊漁船 勝栄丸
編集部より
ただ、ヤマトフーズの使命「瀬戸内の魅力を発信すること」は変わらず、これからも瀬戸内の美味しいもの、楽しいことを製品やサービスを通じてご紹介いただけるのではないかと楽しみです。
まずは、取材で教えていただいた「鯛のレモスコカルパッチョ」を試してみたいと思います。