【からくり箱の好奇心|第1回】干支を年賀状に筆で描く
年賀状を投函するのは、まだ先のこと。今のうちなら「余裕をもって準備ができる」だろう。日本郵便の年賀葉書は2000年代初頭に40億枚を超えたが、昨年は約14億枚余りと発行数がすっかり減少。「定年退職を機会に」送り先を整理して、年賀状じまいをする方も多いとか。それだけに、年に一度の一枚を送り続けたいというご縁は貴重である。
パソコンでつくりプリンターで刷れば便利だが、それはいわば年賀状の既製品、プレタポルテだ。ならば仕立服のように心を込めた年賀状のオートクチュールはできないか?それには、手書きの年賀状を薦めたい。干支の一文字を筆で書けば、新春にふさわしく、清々しい雰囲気になる。
私のきっかけは還暦で始めた習字、「年賀状は日頃の稽古の晴れ舞台、楽しみましょう」と先生に教わった。最初は「戌」年から始めて、これまで七つの文字を書いたので、五年後に干支をひとまわりする。「十二の干支が揃ったらポスターにするのもいいかも」と初夢のようなことも考えているが。来年の「巳」は画数が少なく絵になりにくい、私には難題である。あれこれ工夫し、なんとか暮れ迄には仕上げたいと思う。さあ、時間がないぞ。
■プロフィール
西濱 謙二(にしはま けんじ)
広島市生まれ・在住のライターです。人、街、企業、モノづくりなどの取材と撮影をフリーランスでしています。様々に活躍される方々からお話を聞くご縁に感謝し、同じシニア世代の方々にとって共感したり、和みになったり、小さくとも何かのお役に立てれば願っています。