【からくり箱の好奇心|第5回】桜に思うこと
先月、桜の開花予想が発表されて、♪~梅は咲いたか桜はまだかいな~という小唄を思い出した。
三万本の桜が咲くという奈良県・吉野山をはじめ、全国に名所がある。樹齢千年の福島県・三春滝桜、樹齢八百年の埼玉県・石戸浦ザクラなどの古木も一度は見たいものだ。
桜といえば染井吉野だが、江戸の終わり頃、東京都豊島区にあった染井村で植木職人が作り、全国に広まった(*1)。その歴史は約百余年。実は病気に弱く、昨今は枯れるケースが増えているという。花見の桜が寂しくなるのかと心配したが、新しい苗木を植えたり、病害に強い品種へ交代が始まっているそうだ。広島でも樹勢の衰えた平和公園の桜に植替えが行われたことがある(*2)。まずはひと安心。
さて、桜を撮った写真の保存について。デジタルのデータは何年経とうが健在だが、DVDやCDなどのメディア自体は経年劣化するのだそう。保管する環境で差はあるが、「いつかは壊れる」と思っておきたい。そこで、新しいメディアへ定期的に書き換えたり、ネット上に保存するクラウドストレージを利用するなど記録の世代交代を始めよう。
終活にはまだ早いが、「私の愛した桜」とでも題をつけようか。公園や川辺の桜、ご近所さんの桜、旅先の桜……。いくつもの桜が、いつまでも美しく、デジタルデータの中で咲き続けるだろう。
<出典>
*1:豊島区の文化・観光・交流都市情報IKE-CIRCLE
豊島区が発祥の美しい桜 ソメイヨシノのふるさと
https://www.city.toshima.lg.jp/ike-circle/culture/spot/someiyoshino.html
*2:中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター ウェブサイト
「復興の象徴」再び根付け 被爆桜37本 市民が植樹 平和公園
https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=2313
■プロフィール
西濱 謙二(にしはま けんじ)
広島市生まれ・在住のライターです。人、街、企業、モノづくりなどの取材と撮影をフリーランスでしています。様々に活躍される方々からお話を聞くご縁に感謝し、同じシニア世代の方々にとって共感したり、和みになったり、小さくとも何かのお役に立てればと願っています。