落花生で始める健康習慣。土づくりにこだわる広島の農園から豊かな実りを食卓へ|アグリ・アライアンス株式会社 脇農園

落花生といえば千葉というイメージがありますが、広島でも美味しい落花生が作られていると聞き、生産農家のアグリ・アライアンス 脇農園(以下、脇農園)を訪ねました。
農園を見学しながらお話を伺っていると、話題はやがてお父さまから受け継いだ“土づくり”へ。
その熱い想いに、思わず引き込まれました。
毎日の食卓に落花生を
10月の晴れた日、東広島市八本松町。住宅地と農地が並ぶ県道から少し入ると、脇農園の広い農園がありました。
ちょうど落花生の収穫シーズンで、地元の小学生も収穫体験に訪れるそうです。
まずは気になる落花生の健康効果からお話を伺いました。
脇 伸哉(わき しんや)さま

ちょうど収穫期の落花生畑にて。「花が落ちた後、子房柄(針のようなもの)が下に垂れてその先端が実になるので“落花生”なんです。」
■落花生の健康効果が注目されていると聞きました。
脇 伸哉さん(以下、脇):そうですね、落花生には脳を活性化させる効果や、抗酸化作用があります。なので、朝食べていただくのが一番良いです。
■おすすめの食べ方はありますか。
脇:そのまま召し上がっていただくのが、一番美味しいと思います。
ただ、やっぱり殻を割るのが大変なので…、シニアの方だとベースト状のものが気軽に食べていただきやすいのかなと思います。

脇農園のブランド「土とね、」のピーナッツペースト。蓋を開けた瞬間に良い香りが!ラベルの可愛いピーナッツはイラストレーター・福田利之さんによるもの。
■ペーストの美味しい食べ方は?
脇:ミルクに溶かして飲んでも美味しいですし、これからの季節は鍋のコク出しにも。しゃぶしゃぶのゴマだれ代わりにも使えますね。
うちでは担々麺にも使います。スープのベースになる豆乳に混ぜたり、肉味噌に加えたりしても美味しいです。
サラダにドレッシングを作ってかけたり、野菜の胡麻和え風にしてもOK。風味が良いですよ。
個人的には、アイスクリームに少しかけるのも好きです。
■歌舞伎俳優の坂東玉三郎さんも召し上がっているとお聞きしました。
脇:そうなんです。もともと豆類が体に良いと習慣的に食べていらしたそうですが、私が作った落花生を知人経由でお届けしたところ、「おおまさり」という品種を気に入ってくださり、毎月ご注文いただいています。玉三郎さんも毎朝コーヒーと一緒に6粒召し上がっているそうですよ。
「おおまさり」と「ちばはんだち」という品種がありますが、玉三郎さんは「おおまさり」がお好み。ショ糖が多く、豆本来の味が楽しめるからだそうです。

左が濃厚な有名品種の「ちばはんだち」、右が豆の旨味が楽しめる大粒品種「おおまさり」。
脇:玉三郎さんは地方公演で伝統芸能を広めながら、農業も“伝えるべき文化”と捉えてくださっています。公演で落花生の話もしていただけるのが嬉しいです。広島では三原で公演をされたそうなので、聞いた方もいるかもしれませんね。
■そのまま食べたいとき、殻を簡単に割る裏技はありますか。
脇:あります。頭のくちばしのような部分を押さえて割ると、きれいにパリッと割れます。ぜひ試してみてください。

くちばしのようになっているところをぐっと押します。
裏技は「マガジン」で詳しくご紹介!あわせてご覧ください。
父から受け継いだ信念
■ずっと落花生を育てていらっしゃるんですか。
脇:うちはもともと白ネギが主力で、父が60歳から農園を始めました。
僕自身も元はサラリーマンで、農業なんて全くやる気もなく、関東にいましたから。
でも、広島に帰って週末に畑を手伝ったら楽しくて。父が生き生きしている姿を見て「父の代で終わらせるのはもったいない」と思ったんです。

「父の周りにたくさんの人が集まっているのも、いいなと感じて。」
脇:「60歳になったら僕も始めようかな」と考えていましたが、父母と畑に立てる時間は減っていくので、6年前、45歳で仕事を辞めて一緒にやることにしました。10歳下の元シェフの弟も加わってくれて、加工品づくりを担当してくれています。
■そこでご家族が揃ったんですね。落花生を育てることになったきっかけは?
脇:落花生は6年前からです。白ネギの連作障害対策に豆類が良いからと。中でも落花生は国産が1割未満と希少で、広島ではほとんど作られていませんでした。
ただ、広島には“秋に生の落花生を食べる”文化がなく、最初の2年は全く売れませんでした。
でも阪急梅田本店さんが「美味しい」「関西にお住まいの方々に食べてもらいたい」と仕入れてくださったことをきっかけに、イラストレーターの福田利之さんや料理家の方と加工品のブランドを整え、無印良品さんやアンデルセンさんでも扱っていただけるようになり、口コミも広がりました。

とれたてはピンク色の「おおまさり」。

「この機械で落花生を焙煎します。おおまさりは焙煎が難しく、普通はゆで落花生として食べられていますが、うちでは焙煎したものを提供しています。」
■野菜作りで大切にしていることは何でしょうか。
脇:農園の本当の仕事は「土を作ること」です。野菜は8割が土で決まる。空気を含んだふわっとした土を整えれば、植物は自分で元気に育ってくれるんです。農薬や化学肥料も使う必要がなくなる。
「すべての実は健全な土作りから」がうちのモットー。父からも「そこだけは手を抜くな」と厳しく教えられてきました。手をかけた分、必ず返ってくるんですよね。
ただ、昨今の異常気象で育たないと収益が出ず、土に恩返しできなくなることも。だからこそ、天候に左右されない加工品にも力を入れています。

つやつやの秋ナス「筑陽」。

背丈より大きく育った里芋。これも土が豊かだからこそ。
広島の旬を食べてもらいたい
■お仕事の中で一番楽しい、嬉しいと感じる瞬間は?
脇:やはり、頑張った分の実りが返ってくる時です。
農業は毎年が一年生で、去年の成功が今年も通用するとは限りません。私はよく「土のご機嫌を伺っている」と言いますが、野菜の表情を見ながら育てて、実りがあると本当に嬉しいです。
それを出荷して「美味しかった」とリピートしていただけると、やりがいを感じます。
■最後に、読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
脇:県内の野菜をぜひ食べていただきたいです。その土地の菌が育てた野菜が、体に一番合います。
そして「旬のもの」を食べることも大切。旬を外れると外国産やハウス栽培になりがちですが、旬の野菜は体にやさしく、美味しいんです。
これからも、広島の皆さんを応援する気持ちで、土づくりを続けていきます。

Tシャツにもピーナッツ!取材に合わせて着てくださいました。ありがとうございました。
プロフィール
アグリ・アライアンス株式会社 脇農園
TEL/082-429-3733
URL/https://tutitone.jp/
事業内容/土作りにこだわった野菜栽培(白ネギ、落花生、茄子、アスパラガス他)、加工品の製造販売
「土とね、」オンラインショップ
https://tutitone.jp/allitem/
※落花生や加工品はこちらから購入できます。






