【後編】「生涯現役」へ。警備会社が徹底して取り組む、高年齢者が生き生きと働くための人づくり、会社づくり
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シニア人材にも若手社員と同様の教育を実施、成長を促す
リライアンス・セキュリティーの取り組みをZUTTOが知ったきっかけは、JEED広島・広島労働局主催の「令和6年度 高年齢者雇用促進セミナー」でした。令和6年度高年齢者活躍企業コンテスト「(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰 優秀賞」受賞企業として、高年齢者が生き生きと働くための取り組みをご紹介いただきました。
シニア層の活躍推進について、より詳しくお話を伺いたく、この度取材をお願いしました。
前編から引き続き、リライアンス・セキュリティーの有田さんに取り組みについてお聞きします。
執行役員採用教育研修部長 有田 恭彰(ありた やすあき)さま
リライアンス・セキュリティーは中小規模の警備会社ですが、実は注目企業。
中四国の警備会社で唯一「健康経営優良法人ブライト500」、県内警備会社で唯一「広島県働き方改革実践企業」を認定されるなど、「唯一」「初」を多数獲得しています。
また、シニア層だけでなく女性や障がい者など、多様な人材の活躍推進に取り組んでおり、「西日本の警備会社の中で最も入社して働きたい会社づくり」を目指しています。
シニア層活躍推進については、2009年より人材確保対策としてスタート。ただ、道のりは平坦ではなく、シニア人材の正社員化や健康問題、契約先の年齢制限や品質の維持などの課題もあったそうです。
■年金満額支給される年代の従業員からは、正社員になりたくないという声も上がったそうですが、根気強く説得したとお聞きしました。
有田さん(以下、有田)正社員雇用の推進、正社員化、シニア活躍推進に取り組むまでは、アルバイトが7割を占める会社で、せっかく教育をしても、やめてしまうと、新たに採用して教育をする。その繰り返しでした。
当時も質の高い警備サービスを提供する会社として評判でしたが、さらに品質を上げるためには、社員雇用はマストで、それにかかる費用はコストではなく、必要経費として考えました。
経験を積んで長く働くことで、ミスがなくなり、質の高い警備サービスを提供することができます。シニア人材にも若手社員と同様の教育を行っており、在籍期間中は、ずっと成長を続けることを大切にしています。成長を続けることで、仕事にやりがいを感じ仕事が楽しくなります。これは年齢や性別にかかわらず、すべての社員に共通するポイントです。
■契約先の年齢制限上限引き上げ(60歳→65歳上限)についても注力されています。具体的にシニア人材のどのような業務実績が契約先の理解に役立ったのでしょうか。
有田 特に施設警備においては、契約先から高品質の接客応対と迅速的確な現場対応が求められています。まずは、50代で入社した方が5年・10年と経験を積んで、誠実で安定した勤務を続けていることで、お客さまの理解が進みました。
また、60代で採用する場合も採用基準は同業他社と比べて高い基準であり、仕事ぶりの若さと、「お客さま満足」「お客さま感動」を追及することを求めているため、その仕事ぶりを認めていただけるようになりました。
■70歳超など65歳以上のシニア人材を受け入れている契約先もいらっしゃると思います。契約先の企業さまには、シニア人材のどのようなお仕事ぶりが評価されているのでしょうか。
有田 65歳以上のシニアに限らず、弊社で働く社員は真面目な方たちばかりで、真摯に仕事に向き合っています。
あえてシニアについて言えば、人生経験が豊富で常識を備え、関係者や近隣の方とも挨拶を交わし、良好な人間関係を築いて、信頼を獲得しています。
また、体調管理を徹底して行い、遅刻・欠勤もなく、安定した仕事ぶりから、シニアがご指名をいただくケースが多くあります。

お客さま満足、お客さま感動を追及するブランドの表現として「警備業界のディズニーランドを目指しています!」を掲げています。
良いことは「今すぐやる」のが当たり前の社風
■従業員の熱中症対策、新型コロナウイルス感染症対策、防寒対策とかなりのスピード感をもって実施されています。その秘訣は何でしょうか。
有田 社長の考え方の中心にあるのが「即行動」です。
いいことはもちろんですが、事故やクレームなどの問題が発生した際に即時対応と同時に再発防止に取り組むことで、問題解決とお客さまの信頼獲得につながります。
また、社長から「いいことはすぐにやれ!」と言われ続けているため、「検討する時間」は大幅に短縮され、「今日からやる」「今すぐやる」が当たり前になっています。
「社員の健康と命を守る経営」の方針も、実際に「熱中症対策」「新型コロナウイルス感染症対策」「防寒対策」と次々に対策を打ち出しているため、社員からの「自分たちのために会社が色々やってくれている」「社員を大切にする会社」といった声につながっています。
世代を超えてお互いを尊重しあう
■60歳未満の社員の方は、貴社のシニア人材への取り組みをどのように感じておられるでしょうか。
有田 65歳定年を過ぎても仕事が続けられることは大きな安心感とモチベーションにつながっています。
病気をしても、治療最優先の配慮や勤務調整、仕事の負担低減、復帰の際の勤務調整など行っているため、早く元気になって働きたいと考える方が大半を占めています。実は、最高齢の83歳の方も、心臓の病気や腰の手術などを経て、現在生き生きと働いています。
田中社長はシニアの皆さんに「足腰立たなくなるまで働いてください」と声掛けしていますが、「いつまでも元気でいてください。何歳になっても働く仕事がありますよ」という思いが込められています。
■60歳未満の社員の方と、シニア社員の方のコミュニケーションは活発でしょうか。世代間交流による良い効果があればお聞きしたく思います。
有田 20代の新卒入社の社員と70代のシニアが一緒に働く場面もよくあります。若者にとっては「年配者は頑固」「話しにくい」といったイメージがあったようですが、「若い自分に親切丁寧に話しかけてくれて、優しさを感じてすごくうれしかった」という声が上がっています。
弊社は、礼儀正しい人を採用して礼儀を守る社風のため、お互いを尊重するという社風が根付いています。人間関係が良好であることは、働く上で一番重要な要素と考えています。
また、警備でかかわる人はお子さまから年配者、性別も国籍も様々であることから、社内での世代間交流や多様な人材との交流は、コミュニケ―ションスキルの向上に大いに役立っています。
有田さんは、リライアンス・セキュリティーの、徹底的にやる姿勢が他社には真似できないと分析します。「他社では個々の警備員が取り組むことはあっても、会社全体で実行するのは難しいと思います」
警備業界ではスタッフが基本的に「直行直帰」するため、人間関係が希薄になりがちです。しかし、リライアンス・セキュリティーでは、本部が現場に頻繁に足を運びます。その理由の一つは指導ですが、もう一つはねぎらいです。現場の社員に水やタブレットを渡したり、会話をしたりすることを大切にしています。
人を大切にすることが、リライアンス・セキュリティーの質の高い警備サービスにつながっていると改めて感じました
プロフィール
リライアンス・セキュリティー株式会社
TEL/082-297-9588
URL/https://www.reliance-s.com/
事業内容/各種警備業務、リスクマネジメント、コンサルティング、防犯・防災システムの販売
【各種認定・登録・加盟】
◎あいサポート企業認定(広島県、山口県、岡山県、大阪市、愛媛県)
◎広島県仕事と家庭の両立支援企業登録
◎広島県仕事と介護の両立支援企業登録
◎広島県男性育児休業等促進宣言企業登録(制度終了)
◎広島県働き方改革実践企業認定(制度終了)
◎イクボス同盟ひろしま加盟
◎健康経営優良法人(中小法人部門【ブライト500】)認定
(2022年、2023年、2024年)
◎「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づく、
障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(「もにす認定制度」認定
◎広島市「障害者雇用推進事業者認定」
【令和6年度表彰】
◎令和6年度広島労働局長表彰 奨励賞(健康確保(健康保持増進等)対策) 9/3
◎令和6年度広島県障害者雇用優良事業所表彰 9/11
◎令和6年度「高年齢者活躍企業コンテスト」
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長表彰 優秀賞 10/4