脳若トレーニングで運転寿命を延ばしたい。高齢者の安全なカーライフの実現を目指して。

ロイヤルドライビングスクールは1984年に広島校を開設（福山校は1960年開設）。広島県において卒業生数13年連続No.1（＊）を誇り、県内唯一の“ほめちぎる教習所”として認定されています。

＊：2023年 4,294人 ※広島県指定自動車学校協会調べ

明るくて活気のある、ロイヤルドライビングスクール広島のレセプションカウンター。

同校は、70歳以上の方が運転免許を更新する際に必須となる高齢者講習の実施校でもあります。

高齢者講習を行う中で、現在の講習はその場限りの運転指導になりがちであること、しかし、超高齢社会が進む中で、高齢者の安全なカーライフを実現するためには、自動車学校独自のサポートが必要だと感じていました。

まずは広島校にて、認知機能や身体能力の衰えを最低限に抑え、運転寿命を延ばす取り組みを開始。そこで見つけたのが「脳若トレーニング」でした。

脳若トレーニングは、iPadを使ったコミュニケーション重視の介護予防トレーニングです。一人で行う脳トレとは異なり、参加者に講座へ足を運んでいただき、一緒に体験するものだそう。高齢者同士の交流の場を作ることで、介護予防と社会参画を推進する点がポイントです。

脳若トレーニングを取り入れている教習所は全国で4校、広島県ではロイヤルドライビングスクール広島の1校だけなのだそう（2025年3月現在）。

現在、高齢者講習の受講者を中心に講座を提供中です。地域の皆さまへの感謝を込めて開催している「ロイヤル感謝祭」でも、昨年は脳若トレーニングのコーナーを設け、楽しんでいただいたそうです。

先日は海田の老人会からの実施依頼もありました。これらは広島県高齢者いきいき活動ポイント事業の対象にもなっています。

では、「脳若トレーニング」とは実際にどのようなものなのでしょうか。この日はちょうど体験講座が開催されており、見学させていただきました。

今回は10名の方が参加されました。

講師はロイヤルドライビングスクール広島の小林さんです。

ロイヤルドライビングスクール広島 小林さん

小林さんの柔らかい語り口、丁寧な質問の投げかけ、わかりやすい解説に思わず引き込まれます。

通常は1時間の講座のためiPadを使用しますが、今回は15分の体験版だったため、紙とペンで取り組みます。

はじめに、脳若トレーニングについて説明がありました。脳を若くする3つのポイントは

• 新しいチャレンジ
• 人と会って話す
• たくさん笑う

なんだそう。

そして、お待ちかねの体験がスタート。4つのトレーニングにチャレンジしました。

一つ目は「昨日の晩ごはんを思い出す」トレーニングです。急に問われると、年齢に関係なく意外と思い出しにくいものです。

二つ目は「木へんの漢字を書きましょう」。途中で小林さんから「何を表す漢字が多いですか」というヒントがあり、さらに多く思いついた方もいらっしゃいました。

「ヒントがあると思い出しやすくなったかもしれませんね」

三つ目、四つ目は「懐かしいものを思い出しましょう」。昔のことを思い出すのは脳に良い効果があるそう。

まず、表示された写真を見てそれが何かを当てるクイズが出されました。

「これは何でしょう」

脱水ローラー付の懐かしの洗濯機でしたが、参加者から即座に「洗濯機！」という声が上がりました。さすがです。

「気楽～くに、気楽～くにまいりましょう！」

四つ目は「昭和37年の出来事、流行語、流行歌」のクイズ。お一人の参加者が口火を切って正解すると他の方からも声が上がり、次々と正解が出ました。

講座終了後、参加者に感想をお聞きしたところ、「昔のことは思い出せるよ」「ここに来るだけで若返る」などの声をいただきました。

脳若トレーニングの現況や今後の展開について、引き続き、小林さんにお話をお聞きします。

■体験講座では皆さん楽しく取り組んでいらっしゃいました。プログラムにはいろいろなものがあるのでしょうか。

小林さん（以下、小林）　はい、脳若トレーニングには様々なプログラムが用意されており、組み合わせのパターンは1,000以上あります。そのため、毎日受講しても飽きません。また、脳と体の活性化を促す「BB体操（ブレインアンドボディ）」を併せて行うこともあります。

もちろん、脳若トレーニングをしたからといって脳年齢がすぐに若返るわけではありませんが、脳年齢を維持することはできると考えています。

■脳若トレーニングのどのような点が参加者に喜ばれていますか。

小林　知らない方同士でも参加者同士、会話、交流がうまれ楽しい時間が過ごせる点ではないでしょうか。先ほどの講座でも、昭和の流行歌や時事など、記憶を呼び起こすトレーニングありましたが、昔のことを思い起して懐かしい楽しい気持ちになった、というお言葉もいただいています。

本校で脳若トレーニングを始めるにあたり、先立って取り組んでおられる銚子大洋自動車教習所を見学しました。講座は定期的に実施されており、高齢者のコミュニティの場になっていました。お茶会なども開かれているそうです。

脳若トレーニングを楽しみに来る常連さんもおり、長く続けている方は、若い人よりも速くiPadを使いこなします。86、7歳の方で、お姿はご年配でも話し上手で若々しい方もいらっしゃいました。本校でも同様のコミュニティを作っていければと思います。

「ここに来るだけで若返る」とのお声をいただくと嬉しいですね。

■今後、脳若トレーニングでどのような取組をしていきたいですか。

小林　現在は高齢者講習と合わせて行うことが多いですが、今後は「脳若トレーニング」をメインとした講習会を単体で展開することも考えています。例えば、公民館や自治体での開催です。

また、スポーツジムのように会員制で提供できればと思います。脳若トレーニングは1回では効果が出にくいため、何度も繰り返し取り組んでいただきたいからです。

そして、こちらも継続して取り組んでいただくための工夫になりますが、脳若トレーニングのLINEを開設し、ご登録いただいた方に向けて、来校がない期間でも定期的に介護予防に関するコラムや話題を提供していきたいです。日々の楽しみや彩りとなるコンテンツも併せて発信できれば。