誰かとつながる喜び ― 居場所をつくる・育てる【ZUTTO語録#03】

ZUTTOの取材では、「人とのつながり」の話がよく出てきます。
それは日常の中のちょっとした関わりから育っていく関係だったりします。今回は、そんな“居場所”にまつわる言葉たちをまとめました。
第3回のテーマは「誰かとつながる喜び」です。
まずは、介護のための帰郷をきっかけに新しい出会いが広がった具志堅さんのお話です。
「私は母の介護で帰郷しましたが、それからシャンソンを知っていろいろな出会いに恵まれました。なにごとも表裏一体なんだなあと感じます。」

自分でクルマを運転し、伴奏用CDをかけて大きな声で歌の練習をしています。
予想外の状況の中でも、人とのつながりはふとしたきっかけで広がっていくもの。“表裏一体”という言葉に、具志堅さんの前向きさがにじんでいました。
続いて、居場所づくりを実践されている渡邊さんの言葉です。
「元気だった?今日は何食べたい?じゃあ作るわ、みたいに人の役に立つのが好きなんでしょうね。二つの“ごっこ”が誰かの居場所になればいい。そして結局、私自身も若い頃から自分の居場所を探していたのかも。顔が見える付き合いで、細く長く、そして深く人と関わる。今はここが私の居場所だと感じています」

店名「ごっこ」の由来は“ままごと”。勝手気ままに肩ひじ張らずにやりたいという想いからだそう。ごっこのロゴが入った赤いシャツはお客さまからの還暦祝い。
誰かのために動いていたら、いつの間にか自分の居場所も育っていく——そんな循環の温かさがそのまま、渡邊さんの言葉に載せて伝わってきました。
さらに、観光の現場で“歩けない人”に寄り添う取り組みもあります。
「鞆の浦の町中は徒歩で観光します。しかし、おじいちゃん、おばあちゃん、体の不自由な人、妊婦さんは、ホテルに着いた瞬間に歩いて回るのを諦めてしまいます。…私が人力車を引いて鞆の浦を案内すれば良い思い出になり、リピーターになるかもしれません」

“行けなかった場所”に連れていくことで、旅の記憶そのものが変わる。佐藤さんの言葉からは、その人に寄り添うやさしさが静かに伝わってきました。
最後は、お店を「気分の交換」の場として大切にされているお二人です。
「…実は今も、物を売るだけじゃなくて使ってもらった時に『いい気分になってもらう』のが目的なんです。…幸せな気分だと、その時間だけは人と争うこともないし、世界が平和になる気がするんです。」

手に取るとニヤッとしてしまうお気に入りを選んで頂きました。信荘さんは手編みのカゴ。千愛さんは金の釉薬が渋く光るお皿。
物そのものではなく“気分”を届けたいという考え方が、とても柔らかく魅力的です。お店が誰かの居場所になる理由が、この一言にぎゅっと詰まっています。
居場所は、特別な場所ではなく、人とのやり取りの中で自然と育っていくもの。
次回もまた、こころに残った言葉をお届けします。
